こんにちは。クイナです。
2021年の本屋大賞を受賞した、町田そのこさんの著書『52ヘルツのクジラたち』についての感想、そして簡単な書評をまとめていきたいと思います。
ちなみに、本屋大賞が発表される前に私の1位予想は的中していました。その証拠として⬇
本屋大賞の発表前のツイートです。
「1位になると思う!」 という言葉は入っていませんが、確信を持ったツイートですよ(笑)
ではさっそく見ていきましょう!
概要

あらすじ
52ヘルツのクジラとは―他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる―。
引用:Googleブックスより
あらすじには、「孤独」や「虐待」といった暗いワードが出てきていますよね。その通りで暗い気持ちになりますし、残酷な世界で生きている人たちの情景が浮かんできて、自分まで心が塞がるような思いになります。

やっぱり、この世で一番怖いのは幽霊ではない。人間だ…。(泣)
⬆本書は人の冷たさがヒシヒシと伝わってきます。
しかし、そのつらい世の中でも「出会い」をきっかけにどん底にいても希望はある! と教えてくれるんですよね。
ここで、私なりのジャンル決めです。
人生に絶望していても、立ち上がることができるかもしれない日常系ストーリー
少し長いジャンルになってしまいました。(笑)
「日常」と入れたのにはポイントがあって、それは何かというと、現実に似たような悩みを持っている人をモデルにしたのではないかと思うほど生々しいんです。
小説家のみなさんが手掛けるストーリーって本当にすごいですよね。ストーリーを読んでいて疑似体験ができる濃度が高すぎます。

だからこそ小説はやめられない♪
物語のボリューム

amazonのページを参考にすると「240ページ」となっていますね。
小説は紙の本で読みたい派ですが、Kindleの電子書籍を購入して読んだので正確なページ数がわかりません。Kindleの場合だと、自分で文字の大きさや行間を設定できるので、紙の本のページ数がわからないんですよね。(笑)
ただ、240ページということなので、だいたいどのくらいのボリュームだなぁということは分かると思います。
私は夜寝る前に読み、眠くなってきたら一旦読むのをストップ。そして次の日も夜に読んで、という流れで読んでいましたが、合計して3時間ほどで読了。
ゆっくりなペースでじっくりと読み込むタイプなので、もっと早く読める人は3時間もかからずに読むことができるかもですね。
描写や用語

登場人物の心情は細かくて丁寧なので、頭の中でその登場人物が目の前に現れる感じです。顔の輪郭まで浮かんできました。(それは私の勝手な想像かもしれません。笑)
風景などの描写も分かりやすいです♪ 知らない地名なども出てきますが、そこに居るような感覚になりますね。
細かい描写の書き方などは、別に専門家でも何でもないので「〇〇がこうだった!」「あれは〇〇だね」なんてことは言えないですが、とにかく物語の中に吸い込まれたのに間違いありません♪

本を読みながら、知らない土地を探索している気分♪
文章で使われる用語については難しい言葉はほとんどなく、とても読みやすかった印象です。ただ、私がわらない熟語はいくつか出てきました。
みなさんは「朴訥」という言葉をご存知ですか? 私は分からなかったので調べました。(笑)
その意味はというと「かざりけがなく、口数が少ない」
⬆熟語一つで人の様子が伝わるって、おもしろいなぁと感じました。ボキャブラリーが増えるだけでも小説のおもしろさは格段にアップしますね♪
個人的な感想

ストーリーの出てくる言葉を一つご紹介します⬇
「わたしを思い出してくれて、ありがとね」
町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』中央公論新社(2020)
これを言われると心が奪われますよ。(笑)
このセリフの場面はハッピーとは言えませんが、救われた気持ちになります。本書を読んでいると、何だか勇気をもらえるというか、存在価値を再認識できるというか。
ワンピースに登場するチョッパーの恩師『Dr.ヒルルク』をご存知ですか?
死に際に放つ名言が泣けるんです。
「人はいつ死ぬと思う…? …それは、人に忘れられた時さ!」
⬆これです。(笑)

チョッパー編のDr.ヒルルクは卑怯だ。号泣するしかないよ。笑
このエピソードを踏まえて、先ほどの「わたしを思い出してくれて、ありがとね」の言葉を聞くと、考えさせられるものがありますね。
違う物語の話とはいえ、ワンピース好きの私には、その言葉とリンクせざるをえません。言葉一文の重みが桁違いです。
私に基本的にひとりの時間が好きなので人と関わることが少ないです。でもやっぱり、孤独には耐えられないので、「元気にしてる?」とたまに知人からメッセージが来るだけでも生き返る感じです。(笑)
余談はさておき、「生命の維持には人との関わりが不可欠だな」と改めて感じさせられました。
私なりの解釈

本書を読んでの私なりの解釈を、簡単にまとめていきます。
暗い話ではありますが、日本は自殺者数が多いというデータがありますよね。その背景には様々な要因があると思いますが、やはり、社会の息苦しさがあるとお思います。
著者の町田そのこさんは、それについてを小説のストーリーを通して投げかけているのではないかなぁと感じました。
そんな息苦しい社会でも、生きる価値を見出すことは不可能ではないということ。その一つとして「出会い」が含まれているのだと。
そうやって、人に何かを訴えている作品だと解釈しました。
自論
人間関係においては、自分がよいと思う発言や行動が、相手にとっては嫌だったりしますよね。本書でもそのような場面が出てきます。

善意が必ずしもいいことではない…。
2020年の本屋大賞作の『流浪の月』はもう読まれたでしょうか。
こちらの本のキャッチフレーズ『せっかくの善意を、私は捨てていく。そんなものでは、わたしはかけらも救われない』
「52ヘルツのクジラたち」では、このフレーズと似たような感覚を抱きました。
現在の人々は、「必要のない善意」や「ありがた迷惑」を感じている人が多いのではないかと思ったんです。この二作品が好まれる理由の一つとして、そう感じました。
改めて自分の善意を見直してみようと思います。相手にとってはそれは善なのか。
まとめ
本書は、ストーリーを楽しみつつも現実との向き合い方が記されている指南書のようなものなのかもしれません。
それは「本屋大賞受賞」というタイトルが物語っています。
私は本を読みながら疑似体験をすることが好きなので、登場人物にどっぷりはまることが多々。(笑)
その中で見えてくる現実との向き合い方が好きです。

自分が思っているより「自由」なんだよなぁ…。
今の生活に何か息苦しさを感じていても、それは無駄な悩みかもしれません。自分は意外と自由なんだなぁということに気づきます。(笑)
そんなこんなで「52ヘルツのクジラ」についてまとめてみました。
最後に、
本書を読むことで見聞色の覇気が鍛えられたでしょうか♪(使えるとは言ってない笑)
クイナ
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